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第69回 日本学生科学賞 第69回 日本学生科学賞

出場実績

読売新聞
2025年5月26日朝刊掲載記事

福田莉子さん ISEFに参加した神奈川県立川和高3年の福田莉子さん

 世界最大の学生の科学コンテスト「国際学生科学技術フェア」(ISEF)が10~16日、米中西部オハイオ州の州都コロンバスで開かれ、60を超える国・地域の高校生ら約1700人が参加した。第68回日本学生科学賞(読売新聞社主催、旭化成協賛)の代表者も意欲的な発表をしたが、惜しくも入賞はならなかった。(コロンバス 中根圭一)
 神奈川県立川和高3年の福田莉子さん=写真=は、ウマが感じるストレスを唾液の成分や心拍数、耳や尾の状態などから研究した。発表ブースでは、実験に使ったウマを引いた手綱も展示し、来場者の関心を呼んでいた。
 高知県立高知国際高3年の山崎皓司さんは、バネの振動が減衰する原因について発表した。評価した審査員から「実験や方程式の導き方を論文にまとめてはどうか」と勧められた。
 ただ、世界の壁は厚かった。日本はエントリーした17研究のうち2研究が入賞したものの、日本学生科学賞の代表者の研究で入賞はなかった。
 苦戦を強いられた一因には、研究環境が十分でないこともあるようだ。
 脳の活動の解読手法を発表した同志社大1年の竹内理紗さん(鳥取県立鳥取西高卒)は「大学の研究室に個人的に頼んで大型装置を使わせてもらったが、やはり限界がある」と話す。
 2研究が入賞した中東カタール勢を率いたカタール科学技術高の教諭アメッド・ファリスさんによると、同国では教育省や財団が学生を経済的に手厚く支援している。同高は、大学や研究機関に匹敵するような実験室を備えているといい、「次回はさらに良い成績を残したい」と自信をのぞかせる。
 ISEFでは、環境問題や医療など、社会貢献に直結するテーマが評価されやすい。今回、最優秀賞を受賞したスロバキアの学生は、トウモロコシの皮から感染症の薬の成分を作る方法を考案した。日本勢の指導アシスタントとして同行した日本科学協会の仙田明大さんは「日本の研究は質が高いが、テーマや見せ方を工夫する必要もある」と話す。
 日本学生科学賞の代表者として次の3人も参加した(敬称略)。
 ▽宮崎県立宮崎西高 中武源貴▽安田学園高(東京) 角田あやめ、永田悠仁

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