過去の日本学生科学賞の受賞者たちは、受賞を一つの糧として、現在も研究を行い、活躍しています。 自分の体験を通して感じたこと、研究のヒントなどを語っていただきました。
高橋 佑磨さん
小学生のころからトンボに興味がありました。中学3年の時、東京の郊外にある公園で全身が真っ赤なショウジョウトンボを観察していると、あることが気になりました。オスは縄張りを作り、同じ種類のオスが来ると追い払うのに、別の種類のトンボが来ても無視をする。「何をもとに区別しているんだろう」
観察してもわからないので、いろいろな模型を釣り竿の先にぶら下げてトンボに近づけてみました。その結果、通常のトンボより大きい模型や、翅(はね)のない模型、球形の模型でも、ショウジョウトンボと同じ赤い色なら攻撃することがわかりました。
高校1年の時、自分の研究のレベルを知りたくて日本学生科学賞に応募したところ、科学技術庁長官賞(当時)をいただきました。日本代表として派遣されたISEFでは、動物科学部門で1位に選ばれました。自分の研究が認められ、現実のこととは思えないほどうれしかったです。
当時から研究者を目指していましたが、この経験が原点となって今の自分があるのだと思います。大学では、同じ種の生き物における多様性をテーマに研究を続けています。だれもが気づけそうで、自分しか気づけないこと、そして、だれかの役に立つ研究をこれからも続けていきたいです。
自分が抱いた疑問を起点に、試行錯誤しながら研究し、自分の力で発表するという経験は、なかなか得られるものではありません。この日本学生科学賞を通じて、ぜひ挑戦してほしいと思います。
山口 晴代さん
生物部に所属していた高校時代、藻類の一種「ヒカリモ」が群生する池が学校近くにあったことから、他の部員たちと研究しました。黄色く光って見えるヒカリモの生態は、当時ほとんど解明されていませんでした。生息条件を調べるため、培養液の濃度や成分を変えるなど、自分で方法を考えて疑問を解決していく過程が楽しかったです。研究成果を日本学生科学賞に応募したところ、文部大臣奨励賞(当時)をいただきました。
日本代表として派遣されたISEFでは、舞台の華々しさに「高校生の科学研究で、こんなに輝ける場所があるんだ」と驚きました。結果は4位で、日本勢で唯一の入賞。研究で新しいことを発見すれば認めてもらえる――あの時得た自信と喜びから、研究者の道に進むことを決めました。
卒業後、筑波大学に進学し、現在は国立環境研究所で藻類を中心とした微生物を研究しています。新種の藻を発見したほか、夢だった微生物の図鑑を刊行することもできました。日本学生科学賞がなければ、今の自分はなかったはずです。
世の中には、教科書には載っていない、解明されていないことがたくさんあります。日本学生科学賞は、誰も知らないことを調べて明らかにし、世界に発信できる貴重な機会です。研究に関心のある皆さんは、最初の一歩と思ってぜひ応募してみてください。