第64回日本学生科学賞
実験で使ったストローを手に受賞を喜ぶ矢野さん(坂戸市立城山中で)
「表彰式で名前を呼ばれて固まった。実験を続けてきて良かった」と喜ぶ。
部活動で練習しているアルトサックスの「音が出る仕組みを知りたい」と研究を始めた。ストローで作った笛を紙筒に入れ、音の高さ(周波数)を測定した。
管楽器の音は、管内を往復する振動が共鳴し、大きな振動となって、聞く人の耳に届く。紙筒が短い時や先端が広い時には音が高くなる。また、指で押さえるトーンホールの大きさや管の形で振動が反射する位置が決まり、音に影響を与えることが分かった。「音が出る仕組みを詳しく知ることができた。研究を生かし、奏でる楽器の様子を感じ取り、細かい所まで気を配って整備しよう」と考えた。
昨年3月~8月に自宅で実験し、両親も騒音に耐えてくれた。「学校の先生になりたい」と、将来の夢を描いている。
2021年1月21日付 読売新聞(埼玉県版)
開発したアプリについて説明する
豊島さん(世田谷区の筑波大付属駒場高校で)
「障害がある人とともに活動する、健常者向けの支援ツールが少なかった。高く評価してもらってうれしい」と喜んだ。
豊島さんが開発したアプリは、スマートフォンのカメラで点字を読み取り、カタカナ、アルファベット、数字に変換できる。開発のきっかけは、中学3年のとき、視覚障害者と交流した際の出来事だ。
配布資料が普通に書かれた文字「墨字」のみだったため、豊島さんが点字にしたが、点字を読んだ人から間違いを指摘された。新型コロナウイルスの影響で高校が休校となった昨春、この出来事を思い出した。小学生の頃から取り組んでいたプログラミングの技術を駆使し、点字を墨字に翻訳するスマホのアプリ(アンドロイド版)を作ることにした。
学校の再開後、点字について助言などをした早貸(はやかし)千代子・養護教諭(48)は「外出自粛の期間中で相談できる人も周囲にいなかったはずだが、自分で課題を解決しようとしてくれた」と感心する。
豊島さんは「プログラミングや工学をさらに学び、面白いアイデアを思いついたら、自分の手で実現させたい」と意欲を語った。
2021年2月3日付 読売新聞(都民版)