第63回日本学生科学賞
内閣総理大臣賞に選ばれて喜ぶ4人(徳島市で)
八万中の4人は「信じられない気持ちでいっぱい」と顔を上気させた。
夕方から夜にかけて開花する「ヨルガオ」を3か月半にわたって観察し、開花のメカニズムを明らかにした。東京で行われた中央最終審査では審査員の前で発表し、質問を受ける。4人は、時間をはかったり、想定質問を考えたりしながら放課後に練習を重ねたという。
審査では、緊張で声が小さくなってしまったが「だんだんと慣れてきて、なんとか質問にも答えることができた」と振り返った。結果発表のとき、最初のほうでは名前が呼ばれなかったため「正直どの賞にも選ばれないと思った。でも、最後の最後に呼ばれて頭が真っ白になった」。学校の先生たちから祝ってもらい、やっと実感がわいてきたという。
4人とも1年生。「これからまだまだやりたいことがある。今後は、光の強さや気温の影響も調べてみたい」と意気込む。
一方、城南高の浜口照夫教諭は「自分たちで課題を持ち、研究し、定められた期間内に考察するという過程は、今後の将来に生きると思う」と目を細め、「楽しそうに研究に取り組んでいるのが印象的だった。それが高い評価につながったと思う。奇跡ではなくて、必然だと感じた」と話した。
2019年12月28日付 読売新聞(徳島県版)
研究成果をまとめたパネルを掲げる
久保さん(左)と岩田さん
雌しべ内部で分泌される物質を分析し、ユリの受精の仕組みを研究した。
ユリは、受粉した花粉から花粉管が発芽し、雌しべ内に伸びていき、胚珠に到達することで受精が行われる。その際、花粉管を導く物質が雌しべ上部の柱頭内に分泌されていることがわかっている。
同じくユリの雌しべについて調査した先輩の研究で、開花前後で雌しべ内のデンプン粒が変化することが判明。そこからヒントを得て、花粉管を導く物質も開花前後で変化するのではないかと仮説を立てて、実験を開始した。
テッポウユリやタカサゴユリなどを使い、開花前のつぼみの段階で授粉して、花粉管の伸び具合を調べるなどの実験を繰り返すうちに、雌しべ上部の柱頭と軸部の花柱で、異なる物質が分泌されている可能性が浮上。微速度撮影で観察した結果、これまで柱頭で分泌されているのが確認されていたたんぱく質とは異なる未確認の物質が、花柱で分泌されていることを突き止めた。
今回の研究では、新たに突き止めた物質を詳しく調査するところまでは進まなかったが、代表の久保風仁さん(3年)は「大学は理学部に進み、未知の物質の正体を突き止めたい」と意欲を見せている。受賞について、岩田晃陽さん(同)は「先輩、両親、指導してくれた先生に心から感謝したい」と喜んだ。
2020年1月9日付 読売新聞(愛知県版)