第62回日本学生科学賞
貝の生態に迫り、3回連続で中央審査へ進んだ。前回は、波打ち際で寄せては返す波に砂地から飛び出して乗っかり、数メートルを移動する二枚貝「フジノハナガイ」の生態を調べて入選2等に。今回はさらに詳細な観察研究を進め、最高賞を射止めた。
小学生の時から、貝の研究が好きな父親に連れられて浜辺を歩いた。中学2年の時、この貝の不思議な「波乗り行動」に興味を持ってのめり込んだ。今回は「波打ち際での行動は外敵からの防御や繁殖と関係があるのではないか」と仮説を立て、貝を解剖して、雌雄ごとに生殖巣の発達の状態を観察した。その結果、波打ち際に集まるのは一斉に放卵や放精などのタイミングを合わせ、受精効率を高めている可能性がある――との結論に達した。
新たな疑問も生まれた。冬から春はどこで生息するのか。繁殖行動は潮止まりと関係しているかもしれない。最干潮時に干潟に残る個体と、移動する個体で雌雄の生殖巣の違いを調べれば、さらにこの小さな貝の生き残り戦略がわかるはずだ。興味は尽きない。「将来は研究の仕事に進みたい」と目を輝かせる。
2019年1月24日付 読売新聞(三重県版)
研究成果をまとめたパネルを掲げる
久保さん(左)と岩田さん
深層学習は人間の神経回路をモデルに開発されたAI技術。石山さんは独自にプログラミングし、そのAIが胸部X線画像からがんや肺炎などの疾病を検出できるシステムを作った。
研究のきっかけは、祖父が2017年12月、がんのため余命宣告を受けたことだった。「闘病生活は家族もつらい。がんの早期発見に役立つ仕組みを作りたい」と、プログラミングに取りかかった。
研究では、健康診断で撮影するX線画像を使うことにした。アメリカ国立衛生研究所(NIH)が公開している胸部X線画像の中から、診断名がついた6万枚のうち、4万5000枚をプログラミングしたシステムに「学習」させた。
その後、残りの1万5000枚について診断をさせたところ、高い確率でNIHがつけた診断名と一致させることに成功。審査員からは、「高校生のレベルを超越している」と評価された。
具体的に研究を始めた直後の昨年9月、祖父は70歳で他界した。「論文を見せられなかったのは残念だが、システムの性能を向上させ、一人でも多くの人の命を救える方法を考えたい」と話している。
2019年1月23日付 読売新聞(東京都版)