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都市のフランス 自然のイギリス―18・19 世紀絵画と挿絵本の世界
松下由里 群馬県立館林美術館 学芸係長
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会場風景(群馬県立館林美術館)

 2001年に「自然と人間」をテーマに開館した群馬県立館林美術館は、2007年に、栃木県立美術館の提案による美連協の巡回展「都市のフランス 自然のイギリス」展を川越市立美術館、千葉市美術館と共に開催した。栃木県立美術館の貴重な海外作品をまとめて展示するまたとない機会であり、美術館のテーマにも合致する企画ととらえたからである。

 当館は開館以来、お隣の県立美術館である栃木県立美術館に作品の拝借を始めとして様々にご協力・ご指導を頂いており、改修工事のため作品をまとめて貸出すという情報も早くに知ったと記憶している。当館は開館したもののコレクションの数は限られ、作品購入費も事業費も豊かでは無い中、学芸員たちは企画を練る上で、関東、特に近県の美術館の所蔵品目録を見ては、あれこれお借りできないかと煩悶し、栃木県立美術館にも頻繁にご出品頂いていたのである。

 栃木県立美術館所蔵のコンスタブルやターナーなどの名品コレクションについては、群馬県民も近い分、見に行きやすいといえるが、コレクションの中核の一つである仏英の挿絵本や版画作品のコレクションも併せて総覧する機会はまれである。そこで、栃木県立美術館、特に小勝禮子学芸課長の全面的なご協力と立案・監修のもとに本展が立ち上がるとすぐに参加を申し出たのである。

 こうして小勝さんを筆頭に川越市立美術館の浅見千里さん、千葉市美術館の山根佳奈さん、館林美術館の松下由里と伊藤香織、美連協事務局の菅谷千絵さんと当執筆者以外は計画的かつ緻密な仕事ぶりのメンバーが集まったのである。

 作品に魅了された担当者たちは、この機会に図録も充実させるべく、おおいに奮闘している。小勝さんから全員宛に、しかし各担当者個別への返答や指示も詰まった"聖徳太子のような"メールを頂くなどして、情報を共有してデータや解説の精度を高めていった。

 かくして、所蔵元の充実した研究の蓄積を基盤に、フランスのバルビゾン派から印象派にいたる自然主義的な絵画、風俗や社会を小気味よくとらえた、ジャーナリスティックな版画などに対して、イギリスの風景画、ロマン主義詩画集や印刷技術の粋を極めた19世紀挿絵本の数々を、「フランス装」をイメージした瀟洒な図録を手がかりに味わう展覧会が作り上げられていったのである。

 立ち上がり館ならではのご苦労があった川越市立美術館、続く千葉市美術館の後を受けて、当館は先行した展示を熟覧するという恩恵に浴した上で展示に臨むことができた。

 開館後7年、経験も収蔵品も少ない美術館として、栃木県立美術館の作品の奥深さと研究の蓄積に学ぶところの多い経験であった。

会期会場:2007 年9月23日(日)〜 12月2日(日) 群馬県立館林美術館
本展は、川越市立美術館、千葉市美術館を巡回。

美連協ニュース137号(2018年2月号)より転載(※役職は掲載時)



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