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海外派遣ISEF

ISEFに出場するには

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日本学生科学賞では高校の部入賞作品の中から複数の作品を選んで、毎年5月に米国で開催される世界最大の学生科学コンテスト国際学生科学技術フェア(ISEF)に、代表派遣しています。

ISEF2014体験談

2014年5月米国(ロサンゼルス)で開催されたISEF2014に参加した代表者が現地で体験したことや、感じたことなどをつづりました。世界各国から集まるISEFは一体どのような雰囲気の大会なのでしょうか。

第57回日本学生科学賞 内閣総理大臣賞受賞(共同)

「イオン泳動の研究」

甲斐 伊織(大分県立大分上野丘高校)

 私たちの研究は「イオン泳動」についてでした。この研究で第57回日本学生科学賞において内閣総理大臣賞を受賞し、ISEFに派遣されました。少なからず、私たちは研究にもプレゼンにも自身を持っていたと思います。しかし、大会の会場に着いてブースのセッティングが始まると、他国の出場者のレベルの高さを感じました。日本とは違って、外国の出場者は大学と連携して研究している人や、大学に通っている人などもいて、世界大会で入賞することは容易ではないと感じました。審査では、細かいところや専門的なことについて質問されるのではないかと思っていましたが、実際には研究をはじめた動機や、どのような場面に応用できるのかを聞く審査員が多く、あまり答えにつまるということはなかったのですが、自分たちの思いが英語を通して相手に伝わっていたかと言われると、もしかしたら伝わっていなかったのかもしれないという疑念が残ります。実際に入賞した日本人は、英語が得意な人ばかりでした。英語が大切であると言うことを強く感じました。他国の人は先進国でなくても流ちょうに英語を話し、私たちは聞き取れずタジタジしてしまうことが多かったです。もっと英語をうまく話せれば、大会をもっと楽しめただろうに、と少し残念でした。しかし、そんな中でも相手の人は根気強く私たちの話を聞いてくれたり、何度も言い直して伝えようとしてくれたり、また、face book・TwitterなどSNSを交換できたのも、自分の人生で大きなプラスになりました。残念ながら、入賞できませんでしたが、ISEFでの体験は誰でもできるものではありません。今までお世話していただいた全ての方々に感謝します。

第57回日本学生科学賞 文部科学大臣賞受賞(個人)

「ミドリムシの鞭毛は接触刺激の受容体か」

須田 彩佳(埼玉県立浦和第一女子高校)

 派遣の感想は、いろいろあるので一言でまとめることは私にはできませんけれども、とにかく「楽しかった」の一言ははじめに出てきて、しかも最も大きな気持ちだと思います。なにしろ海外ですから、そのこと自体が人生初めてのことで興奮しました。それも、普段の仲間と異なる人たちと一緒に。ロサンゼルス空港に着いた時からは、目に入るもの、耳に聞こえるもの、におうもの全て普段と違う新鮮なもので、うきうきが絶えませんでした。時計の針を、日本時間からロサンゼルス時間に、空港の時計を見ながら合わせたときの微妙な緊張感が、今でも思い出せます。この時に「海外に来たのだなあ」と感じていました。

 さらなる興奮の理由として、その旅の目的が、自分の研究の成果を世界に発表するということがありました。これは、派遣前から何か月もかけて練り上げてきた成果を出すことですから、緊張や不安がありました。会場についてから約2日間練習の期間があったわけですが、その間ともに派遣されてきた仲間と励まし合いながら最後の確認を行いました。そのときはそれぞれ今までを振り返りつつ、ここまできたのだからと自信をつけました。また、海外の国のブースや様子を見ると、その人の研究にかける思いがたいそう伝わってきて、同じ会場にいることをうれしく感じました。審査前の士気を高める宴として、ダンスパーティーなどがありましたが、それはまた別世界のようで、とても盛り上がっており、なんでも楽しみ盛り上がれる人が集まっているのだと思いました。

 このようにいつもと全く違うことを見聞きし経験できた今回の研修です。これは、生きているうちでもなかなか得られるものではないと思います。そのような機会が得られて、自分の研究の成果が出せたこともそうですけれども、とてもよかったと思います。

第57回日本学生科学賞 環境大臣賞受賞(共同)

「CAM植物の気孔開閉制御」

野田 遼平(埼玉県立大宮高校)

 私たちは、生物室で栽培されていたコダカラベンケイソウを用いて、CAM植物の気孔の開閉の仕組みを研究しました。実際のところ理論の部分や文を英語に翻訳する部分は主に共同研究者である泉君がおこなったため、今回ISEFに参加し発表することができたのは泉君のおかげだと考えています。ISEFでの発表が決まってからは、英語への翻訳、発表の練習等でかなり忙しかったです。特に、文からグラフまで全て英語に翻訳し、分かりやすく説明しなければならないというのは今までに経験したことがなく、苦労の連続でした。

 今回ISEFに参加して、海外の同年代の方の研究の、レベルの高さと実用性の高さに驚きました。私たちがおこなった研究は、植物の気孔の開閉の仕組みを解明するというもので、興味を持ったためおこなったものでした。しかし、海外の方の研究には、身近な課題の解決策を考えるような実用的な研究が多く、世界では何かの役に立つ研究が普通なのかと衝撃をうけました。

 残念だったことは、自分の英語能力が低く、ISEFという貴重な機会を生かしきれなかったということです。審査の際には、審査員の方にうまく伝えきれなかったという感覚がありました。また、各国を代表するような高度な研究が集まっているというのに、英語を読むことができず、詳しい内容を知ることや、その研究をした方と話し合うことができませんでした。交流会もあったのですが、ほとんどまともな会話をすることができませんでした。さらに、海外の方どうしでは、母国語で話すのと同じように会話している人がほとんどだったのに驚きました。これから世界で研究を行うには、英語はかなり重要だということを実感しました。

 今回ISEFへ参加したことで、私は様々な衝撃を受け、また、多くのことを学ぶことができました。高校生という年齢でこのような貴重な体験をすることができ、本当に嬉しく思っています。

 今回ここまで研究を進め、海外で発表をおこなうことができたのは、多くの方の理解と助けがあったからだと考えております。このような貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございます。

第57回日本学生科学賞 科学技術政策担当大臣賞受賞(共同)

「竹とんぼの研究」

田村 亮祐(山口県立山口高校)

 私たち二人は、「竹とんぼの研究」を高校の授業の一環である課題研究のテーマとして始めた。研究を始めた頃は、自分達の作品をISEFは無論のこと、日本学生科学賞に出展することなど意識せず、興味の赴くまま研究活動に熱中していた。今思うと、学生科学賞に応募するようにと学校の指導担当の先生からの助言がなかったら私たちはISEFという素晴らしい舞台を体験することはできなかった。当時の先生の助言には感謝の念が絶えない。

 私が本研究で果たした重要な役割の一つは、竹とんぼの運動の測定方法を開発することだった。当然のことながら、測定精度は研究の信頼性、結論、考察の正当性を左右するために、私の役割は重要だった。中でも、ストロボ写真を利用し、竹とんぼのように広範囲を移動する物体をストロボ写真で撮る前例が存在しなかったからだ。結局この測定方法の開発に4カ月を費やした。

 この測定方法の開発に代表されるように、私たちは本研究を通じ、正解が明らかでない物事を解明するというプロセスを経験できた。将来的に私が行う科学技術系の仕事は、答えのない物事の探求である。私たちがこの種の研究という作業を高校生という段階で僅かであるが経験できたことは、将来にとって有益なことだと確信している。

 最終的に、私たちはISEFに出場する機会を得た。世界大会に出場して初めて、私は自分と国際水準との間に存在するギャップを実感した。一つは英語力。もう一つは研究の応用性だ。ISEFで受賞を果たした研究の多くは、研究内容が何らかの形で実社会に応用できる可能性を有していた。そのため、優れた研究は我々と比較すると遥かに科学の先端にまで突っ込んだ内容だった。そのような優れた研究を直視できたことは非常に刺激的なことだった。そして、今から追いかけるべき目標ができた。その目標は、優秀なファイナリストたちの背中であり、今回実感した国際標準の突破である。

 十代にして、世界の壁の高さ、様々な経験そして刺激を得られたことは非常に幸運なことであった。この幸運を単なる思い出として終わらせるのではなく、今後夢へと向かい挑戦していく際のエネルギーにしたい。閉会式でIntelのCEOがおっしゃったように「我々に不可能はない」。

 失敗を恐れず様々なことにチャレンジし、世界というフィールドに立って活躍できる人材となるよう励みたい。

第57回日本学生科学賞 全日本科学教育振興委員会賞受賞

「飛翔する昆虫の体温変化U」

栗屋 大志(熊本県立東稜高校)

 今回ISEF2014に参加して一番印象に残ったことは、現地で行った英会話です。僕は英語が苦手なので、全ての会話が英語ということで不安が大きかったです。大会に向けた準備で一番大変だったことも、論文の英語化や発表する英語の原稿の作成でした。買い物なども英語だったのではじめはあまりうまくできませんでした。しかし、実際にピンバッジ交換会や審査を経験して、少しは日常的な会話を行えるようになり、発表もなんとか英語で行うことができました。苦手ながらも英語での会話や英語の文章を読んでいく中で、英語や海外に対する関心が以前よりも沸いてきました。

 実際の審査では自分の思っていることが英語でうまく表現できずに悔しい思いをする場面もありました。それでも、大会まで練習してきたことをしっかりと発表でき、自分が説明したことで審査員の方に納得や感動をしてもらったときはとても嬉しかったです。どの国の研究も各国の代表なだけあってとても面白く、自分たちにとって、とてもいい刺激になりました。他の国の代表とも仲良くなり、下手な英語ながらも日本の文化のことで楽しく話をできました。発表の会場も広く、予想していたよりも大会に参加している国やブースが多かったので驚きました。

 観光では自分が今まで過ごしてきた日本とは全く違う環境を訪れることで、日本と海外の違いや日本の良さを改めて実感できました。他にも、テレビでよく見る風景や映画などの舞台にもなっているような場所に行くことができて、とてもいい思い出になりました。

 今回、ISEF2014に参加したことで今まで以上に研究に対する意欲が沸いてきました。他国の人の研究は興味が沸くものも多くあり、いい意味で刺激を受けたことで、今後どのような道に進むか迷っていた自分に、研究を続けたいという意欲が沸いてきました。今大会で賞をもらうことはできませんでしたが、多くのことを学ぶことができ、自分にとってとてもいい経験となりました。

第57回日本学生科学賞 日本科学未来館賞受賞(共同)

「タービタイト中の珪藻化石」

坂井 雛子(新潟県立新潟中央高校)

 派遣が決まったとき、一番に浮かんだのは嬉しさというより驚きの感情でした。

 その後、アブストラクトやリサーチプランを作り、何回かにわたる研修会を経験していくうちに、徐々に実感がわいてきて、あっという間の4ヶ月間だったと思います。

 審査本番では、練習の甲斐もあって、何とか審査員とコミュニケーションを取ることができ、研究の重要なところは伝えることができました。審査員の先生も熱心に聞いて下さる方が多く、対話することがとにかく楽しかったです。

 審査前日に通訳の方との打ち合わせ会や練習にも背中を押されました。しかし、「絶対に伝えよう」と思っていたこと以外は、自分の英語力が低いせいで積極的にアピールできず歯痒い思いをしました。

 一般公開では地元の小学生や他のファイナリストとの交流に刺激を受けました。また、審査とは関係なく、タービダイトの研究をしている学者の方とアメリカの大学で堆積学の教授をしている方が、興味を持って研究の内容を聞いてくださったのがとても印象に残り、嬉しかったです。自分でも興味のあるブースをいくつも見に行きましたが、やはり英語では内容をなんとか理解できる程度で、少し悔しい思いをしました。

 ISEFを終えて一番思うのは、英語の力をもっとつけたいということです。

 日本で地質学の研修をしている高校生は、生物や化学と比べると多くはないけれど、世界という枠で見ると国内よりは多く、自分にもっと英語を話す能力があったら、もっとたくさん話をすることができたのにと思うことが何度かありました。個人的には、今後も地質学の勉強をしたいと考えているので、この経験を胸に自分の道を進んでいきたいです。