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日本学生科学賞では高校の部入賞作品の中から複数の作品を選んで、毎年5月に米国で開催される世界最大の学生科学コンテスト国際学生科学技術フェア(ISEF)に、代表派遣しています。

ISEF2013掲載記事

日本学生科学賞から派遣された代表者が、日本初の快挙「部門最優秀賞」や特別賞「米国物理探査学会賞」を受賞するなど、輝かしい成績を収めました。

2013年5月18日付読売新聞朝刊掲載

 米国で開かれている世界最大の科学コンテスト「国際学生科学技術フェア」(ISEF)の特別賞が16日(日本時間17日)発表され、第56回日本学生科学賞(読売新聞社主催、旭化成協賛)の代表として参加した、筑波大1年の四茂野貴大さん(18)(広島県立府中高校卒)と同高3年の佐藤友彦さん(17)の共同研究が、米国物理探査学会賞を受賞した。日本学生科学賞代表の特別賞受賞は2年ぶり。2人は「研究活動を支えてくれた皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。2人の研究は、昨年12月に審査結果が発表された第56回日本学生科学賞で、文部科学大臣賞を受賞した。

2013年5月18日付読売新聞夕刊掲載

(写真、日本サイエンスサービス提供)

 世界の高校生らが参加する科学コンテスト「国際学生科学技術フェア」(ISEF)の優秀賞が17日(日本時間18日)、米アリゾナ州フェニックス市で発表され、日本学生科学賞(読売新聞社主催、旭化成協賛)で環境大臣賞を受賞した千葉県立千葉高校2年の田中尭さん(16)が、地球惑星科学部門で最優秀賞を受賞した。学生科学賞の代表が部門の最優秀賞を受賞するのは初めて。今回のISEFには、70余りの国・地域から、約1600人が参加した。

 田中さんの受賞作は、千葉県内の地層の微小貝を観察し、それが堆積した当時の海の水深などを推定する研究で、学生科学賞では環境大臣賞を受賞した。2011年のISEFでは、田中さんの姉の里桜さんも同じ部門で3位に入賞している。

ISEF2013体験記

2013年5月米国(アリゾナ州フェニックス)で開催されたISEF2013に参加した代表者3組4人が現地で体験したことや、感じたことなどを紹介してくれます。世界各国から集まるISEFは一体どのような雰囲気の大会なのでしょうか。

第56回日本学生科学賞 文部科学大臣賞受賞(個人)

Reaction Mechanism of Zn-Cu Galvanic Cells in NaCl Solution
(NaCl型ボルタ電池の正極反応)

高成 壯磨(北海道旭川東高等学校)

 私は旭川東高校化学部に所属し、1年前から塩化ナトリウムを電解液に使ったガルバニ電池の研究を行ってきました。昨年12月に行われた日本学生科学賞では、電解液を寒天で固め、反応を可視化することで電池の反応機構を解明したという「高校生らしい」部分が評価されて文部科学大臣賞を受賞することが出来ました。しかし、ISEFで求められていることは「いかに世の中で役立つか」です。携帯電話のバッテリーを30秒で充電できる装置を開発した、というような大学院博士課程レベルの研究をしている学生がゴロゴロいる世界です。周りの高度な研究内容には本当に驚かされました。

 しかし、ひとつ悔やまれることがあります。それは、自分の英語・科学の能力が低いために他の学生と議論をすることが出来なかったことです。一般公開の際、ブースをまわり研究内容を説明してもらいましたが、図表から話の内容を想像することぐらいが精一杯でした。ノーベル賞受賞者パネルディスカッション等の講演会もありましたが、目の前にあるチャンスを掴みきれず苦い思いが残りました。

 今回同行した日本代表のメンバーには大きな感銘を受けました。私は残念ながら受賞することはできませんでしたが、それでも日本人が世界を相手に互角に戦い、評価を受けることはとてもうれしいことです。表彰式で「Japan」のアナウンスの後に自分の名前を呼ばれてガッツポーズをしている姿はとても印象的でした。

 私の将来の夢は農家になることです。人間が生きるために最も必要である「食」で苦しむ人が10億人もいるという世界の現状に憤りを覚えるのです。大学では品種改良や新農法確立のための研究をして、一人でも多くの人に食べる幸せを届けたいです。ただ、今まで簡単に世界を舞台に働きたいと口にしていましたが、今回のISEFで決して容易なことではないと思い知らされました。まず言葉の壁を乗り越え、世界と勝負できるレベルの研究を行い、ISEFに出場できたという自信をもってこれから頑張って行きたいです。

 最後に、私のISEF出場でお世話になった方々へお礼です。ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。

第56回日本学生科学賞 文部科学大臣賞受賞(共同)
物理部引き波研究班(広島県立府中高等学校)

“V-shaped wave” generated by a moving object
―Analyses and experiments on capillary gravity waves―
(動く棒が水面に描く波模様の研究)

佐藤 友彦(広島県立府中高等学校)

 ISEF出場が決まってから出場までの間で最も苦労した事は、発表用のポスターやアブストラクトの作成でした。世界大会なので当然英語で書くことになっていたのですが、英語はあまり得意ではなかったので、今までに書いたことのない量の英文を書くことに骨が折れました。

 審査会場に着くと最初に自分たちのブースの組み立てをしました。不備があると審査に参加できないということもあって慎重に準備をしました。ブースの準備の後、想定質問の打ち合わせをして審査に備えました。

 審査本番では、踏み込んだ質問が多く出るのではないかと思い不安な部分もありましたが、実際には実験方法や応用についての質問が多く、うまく対応することができたと思います。 一般公開の日には他のブースを見て回りました。最も印象に残ったのはカリフォルニア州の人の研究で、20〜30秒で携帯電話を充電できる装置を作ったというものでした。また、他国の研究は大学の研究室を借りて実験を行っている場合も多く、日本との違いを感じました。

 初日のピンバッジ交換会では、多くの国の人と交流ができました。近くにいる人に話しかけて回り、ピンバッジを約150個も交換しました。簡単な話をしたり、一緒に写真を撮ったりしました。日本語が話せる人が多く、日本語で話しかけられることも多かったのが意外でした。中には、アニメが好きだから日本語を練習して話せるようになったという人もいて感心しました。

 今回ISEFに参加して、片言の英語でも会話はできるので、積極的に話そうとすることが大事だと感じました。また、世界中の同世代の人と話したり友達になったりできて、とても有意義でした。ありがとうございました。

四茂野 貴大(元広島県立府中高等学校)

 Intel ISEFに行けたのは正直に言ってほぼ佐藤君の力であり、自分は何の役にも立ってなかったと言える。アメリカでも自分はただおろおろしているだけだったが、佐藤君は堂々とそしててきぱきと対応していた。日本学生科学賞の最終審査会では自分もある程度自信をもって対応できたが、自分は英語が本当に本当に本当に苦手で、ISEFに向けては研修会のときからすごくネガティブになってしまった。つまり自分は一緒に行った人たちに迷惑をかけただけであり、完全にお荷物であったといっても過言ではない。しかしそんな自分でも少しでも明るくふるまうことで少しは他の人の緊張をほぐしたり、勇気づけることができたのだと信じたい。

 一般公開のとき、佐藤君は積極的に他のブースを見に行った。府中高校のブースは自分だけになり、一人で対応せざるを得ない状況になった。ハッピが目立つからか、果たして多くの人が自分のブースを訪れた。一人で対応せざるを得ない状況になると、意外にも対応できた。英語は話せなくても、見振り手振りで案外意思疎通ができた。母子で訪れた外国の親子には、折り鶴をつくって渡してあげるととても喜んでくれた。 審査では米国物理探査学会賞チーム賞を受賞できた。まさかという気持ちだった。本当に驚いた。そして千葉高校の田中尭君は地球惑星科学部門で日本人初の部門最優秀賞に選ばれた。日本チームからこんなすばらしい受賞者が出てとても誇らしい気持ちになった。

 自分の引っ込み思案な性格でみんなに迷惑をかけたが、結果的に多くのよい思い出をつくることができた。今後は好きな物理を勉強し、ISEF特別賞に恥じないよう頑張りたい。また、将来は自力で英語で発表できるよう頑張りたいと思う。

 引率をしてくださった皆様、研修に協力していただいた皆様、指導していただいた先生方、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

第56回日本学生科学賞 環境大臣賞受賞

Ignored micro seashells tell ancient marine environment
(微小貝は古環境指標として有用か)

田中 堯(千葉県立千葉高等学校)

  大きさ数ミリにも満たない微小貝は研究者が少なく、私の研究はまさに試行錯誤の連続であった。今回受賞した研究は、小学校四年生から六年間続けていた現生微小貝の研究成果からアイディアを得て、化石微小貝が古環境解析の新しい指標となり得ることを示したものである。日本国内では研究の継続性は重要な評価項目だと聞くが、ISEFではそれ以上に独創性や発展性が大きく評価されるという。そうした中で、私の研究の今後の可能性を認めていただけたことは、これ以上ない喜びであった。

 コンテストでは、審査員の厳しい質問に答えなければならないが、一方で彼らは驚くほど熱心に私の説明に耳を傾けてくれた。世界の様々な専門家の意見や助言をいただけたことは、今後の研究にとって非常に大きな収穫であった。また、自分の研究について海外のより多くの人に伝えることができ、審査会は時間を忘れるほど楽しかった。

 もう一つの収穫は、コミュニケーション力の重要性を肌で感じたことである。他国の学生は、皆驚くほど流暢な英語を話し、日本人は一番喋れていなかったと思う。私も、当初は文法や発音が気になり言葉に詰まることが多かった。しかし、審査員とのやり取りに集中していくにつれ、それよりもジェスチャーや図を交えたりして研究の中身を伝えることに意識は移っていった。日本人が世界で活躍するためには、自分の考えを明確に主張することが大切であり、そのためのツールとして英語が必要だと改めて痛感した。

 初めて海外に出かけた私にとっては、客観的に日本を見るという視点は非常に貴重であり新鮮であった。日本は外国に比べると恵まれている部分が多く、世界には困難に負けずに勉強する学生もいることを初めて目の当たりにした。このような機会を与えてくださった日本学生科学賞関係者様、ご指導いただいた諸先生方に改めて深く御礼申し上げる。

写真提供:日本サイエンスサービス