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思い出の展覧会
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アンテスとカチーナ人形−現代ドイツの巨匠とホピ族の精霊たち
毛利直子 高松市美術館 学芸員
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「アンテスとカチーナ人形」高松会場

 当館は、1988年の開館で、初めて美術館連絡協議会(以下、美連協)とご一緒させていただいたのは、すぐ翌年度の「ザッキン展」だった。2016年には、改修工事を経てリニューアルオープンを迎えたが、この30年近くの間に、多くの展覧会でお世話になり、思い出も限りない。

 特に、開館と同じ年に高松市が姉妹都市提携を結んだトゥール市(フランス)にある美術館所蔵の、17世紀から19世紀にわたるフランス絵画を展望する展覧会は忘れられない一つだ。1994年のこと、まだまだ学芸員としての経験が浅い私たちにとって、縁(ゆかり)があっても自力で立ち上げることは到底叶わないのが現実であり、美連協と山梨県立美術館はじめ開催館の協力連携により、本展が日本の6都市を巡回できたことは大変な幸運だった。

 そうした幸運はまだまだ続いた。今回、「思い出の展覧会」を振り返るに当たって、真っ先に思い浮かんだのは「アンテスとカチーナ人形」展だ。これは、神奈川県立近代美術館・伊丹市立美術館・岩手県立美術館・いわき市立美術館と当館の学芸員らが西村画廊の協力を得て、開催に漕ぎつけたものだった。ドイツの巨匠ホルスト・アンテスの作品は知っていたものの、彼が北米プエブロ・インディアンの「カチーナ人形」の世界最大コレクターであることや、そのカチーナを作るズニ族やホピ族の人々について私は疎かった。しかし、彼のコレクションにはデュシャンやエルンストが旧蔵していたものがあるなど、シュルレアリストたちを魅了したカチーナの虜となるのに時間はかからなかった。そして、藤巻和恵学芸員(伊丹市立美術館)とともに『ホピ語辞典』等を参照しつつ人形のタイトルを日本語に翻訳し始めた。雲をつかむような作業だったが、平行してホピ関係の書籍を読み漁るうちに、アンテスがいう「ホピ族の人々が宇宙の不安的な状態のなかで自然と調和して生きることにいかに努力していることか」に自然と共鳴し、この未知の世界に導かれる喜びを感じたものだった。本展は2004年に高松市美術館で立ち上がり、アンテス作品約60点と彼の仕事に大きな影響を与えたカチーナ人形約80体が、来場者に新たな世界の扉を開いた。

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「まるごと探偵クラブ」の一場面
(「ゲント美術館名品展」にて)

 なお、もう一つ。2005年開催の「ゲント美術館名品展 西洋近代美術のなかのベルギー」では、当館初、中学生が主体となる教育普及プログラムを立ち上げた。中学生がファシリテーターとなって、小学生対象にクイズやゲームを通して展示作品を楽しむ「まるごと探偵クラブ」。本展がヨーロッパ美術の大きな流れを展覧しつつ、魅力に富んだベルギーの美術作品に出会う、またとない機会だったからこそ着想できたものと、当時の喜びを思い返す。

会期:2004年7月23日(金)〜8月29日(日) 高松市美術館
本展は、伊丹市立美術館、岩手県立美術館、いわき市立美術館、神奈川県立近代美術館 葉山を巡回

美連協ニュース134号(2017年5月号)から転載(※役職は掲載時)



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