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思い出の展覧会
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「三沢厚彦 ANIMALS in 周南」
松本久美子 周南市美術博物館
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大がかりだった搬入作業。当館では初めてフォークリフトを使った。

 私の思い出の展覧会は、平成26年度に開催した「三沢厚彦 ANIMALS in 周南」である。

 20年間、学芸員の仕事をしてきた中で、自分が主として担当した展覧会は、数えてみると17展覧会。一から立ち上げた自主企画展のほか巡回展においても、大変だったこと、失敗してしまったことのほか、新たな発見や作品、作家さん、学芸員仲間との出会いなど、それぞれの展覧会でいろいろな思い出が残っている。

 その中でひとつの展覧会にしぼるとなるとなかなか難しいのだが、当館で開催した展覧会の中で一番大がかりな搬入、展示となった「三沢厚彦展」は思い出深い。

 彫刻家・三沢厚彦さんの作品をテレビで見たときに、愛嬌のある動物たちの表情に魅かれ、いつか当館でも開催できたらいいなと内心思っていた。

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展示室内で、お気に入りの作品をスケッチする子どもたち。

「三沢展」は、美連協の企画で、高松市美術館、岩手県立美術館、当館、高梁市成羽美術館の4館を巡回することとなった。

 当館の予算規模からすると、本来であれば、開催はなかなか難しかったと思うが、一緒に手を挙げられた高梁市成羽美術館が、当館と同じくらいの展示スペースで、会期も当館に続く時期ということで、条件的に恵まれて開催にこぎつくことができた。

 それまで直に三沢さんの作品を見ていなかった私は、巡回館の打ち合わせも兼ねて訪れた小田原の製材所(三沢さんが大きな作品を制作される場所)で初めて作品を目にすることができた。

 そこには、制作途中の《ジャガー》が置かれていた。樟の香りが漂ってとても感動したのを覚えている。

 実際に展覧会の準備に入ると、こんなに大変だとは思わなかったというのが正直なところだった。

 当館は、もともとバックヤードのスペースが狭い上に長年にわたって増えてしまったもの物もあり、2階に作品を上げるためエレベーターまでの動線を確保するのに、どこに物を除けるかを考えることから始まった。さらにエレベーター、ドアの間口のサイズなど作品が運べるかどうかの確認など、展示作業の前にいつも以上にいろいろな準備が必要であった。

 作品は、4tトラック4台、10tトラック1台で運び込まれ、搬入作業だけで2日。展示作業は4日にわたった。また、重量があるので、フォークリフトも使われた。

 これまでにない展示作業だったので、三沢さんから許可をいただき、ビデオ撮影したものを、館のスタッフが苦心して編集してくれ、You Tubeでも紹介した。この舞台裏の紹介も好評だった。

 学芸員としては、自分が面白いと思ったり、感動したりしたことを展覧会でお伝えできれば、といつも思っている。

 この「三沢展」でも、市内の小学校からの団体鑑賞があった。動物たちの大きさや迫力に驚いたり、壁の上の方に展示された《ヤモリ》を見つけて喜んだりしていた子どもたちの姿に、改めて開催できてよかったと感じた。

会期:2014年11月21日(金)〜2015年1月18日(日) 周南市美術博物館
本展は、高松市美術館、岩手県立美術館、高梁市成羽美術館を巡回

美連協ニュース132号(2016年11月号)から転載(※役職は掲載時)



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