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第35回 「心に残る医療」体験記コンクール 〜あなたの医療体験・介護体験を募集します〜

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第35回入賞作品

<小学生の部> 優秀賞

世紀の大発見をする日まで

小田倉 麗奈(おだくら れいな)(12)東京都

私は生まれた時から甲状腺に持病がある。機能低下症、病名の通り私の甲状腺は機能が低下している。「腺」というと「線」を想像するが、そうではないらしい。甲状腺はちょうどのど仏のところにあって、蝶々(ちょうちょう)が羽を広げたような形をした柔らかい臓器だ。私のものはほとんど動いていない。

甲状腺は元気の源を作る大事な場所だ。それが働かないと大変なことになる。薬も一生必要だ。「元気の種」。最初に診ていただいた先生は薬をそう呼んだ。今も、元気の種を飲むと魔法がかかったように元気になる気がする。学校へは、時々疲れてしまう時もあるけれど普通に通えているし、特に困ったこともない。

小さい頃は発達や発育、知的障害も心配され、精密検査で何日も入院した。

今は通院して、3か月に1度血液検査をしている。大きくなっていく体に合わせ、薬の量を調整するためだ。

私が病気を診てもらっているのは、大きな子供専門の病院で、重症患者さんや難しい病気の子が通院や入院をしている。

病院は病気を診るだけではない。いくつかの病気は併設の研究棟で追跡調査も行われている。

また、その病院はIPS細胞にも重要な基地となっている。今年のクラスの総合学習のテーマは再生医療だ。特に私はIPS細胞について調べている。テーマを選んだのには理由がある。

病院ではいろんな患者さんと出会った。私が検査入院した時は同室に、肺が一つしかないお姉さん、成長が止まってしまって人工呼吸器と動くベッドで生活するお姉さんがいた。

みんなすごいと思った。不自由なことは多いのに、明るく優しく何より心が強かった。一つだけ違うことは、病院がお姉さんたちの世界だということだ。

IPS細胞は全ての病気を治せる可能性のある万能細胞だ。再生医療が難病の解明に役立てば、お姉さんの一つしかない肺に、もう一つ新しい肺を入れ替えたり、人工呼吸器のお姉さんには、強く動く心臓を、私の甲状腺ももしかしたら動き出すかもしれない。

私は将来研究医になりたい。このIPS細胞をもっと研究して、どんな病気も治せる世紀の大発見をしたい。そして病気で困っている子供たちを救いたい。病気が次の日には簡単に治る未来がきっとくることを信じている。

私も病気の発見や治療に救われた。次は私がみんなの「元気の種」を見つける番だ。

だからみんな、もう少しまっててね。


(敬称略・学年などは2017年2月18日時点)

  • (注)入賞作品を無断で使用したり、転用したり、個人、家庭での読書以外の目的で複写することは法律で禁じられています。


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  • 主催
  • 日本医師会
  • 読売新聞社
  • 後援
  •  厚生労働省
  • 協賛
  • 東京海上日動 東京海上日動あんしん生命

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