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第34回 「心に残る医療」体験記コンクール 〜あなたの医療体験・介護体験を募集します〜

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第34回入賞作品

<小学生の部> 優秀賞

何でも最後まで…悲しみから学んだ事

池添 希(いけぞえ ゆめ)(10)奈良県

今年の7月25日、おじいさんが旅立たれた。

入院先に私がお見舞いに行った時には、すでに意識不明だった。もしかしたら意識がもどるかもと、点てきをして下さった。

旅立たれる前日、ママと足のマッサージをしていると、初めて「痛い」とさけばれた。それからも「う〜ん」と返事もして下さったりして、とてもうれしかった。

そして25日の朝、ママが「おはようございます」とあいさつをしたら「ん、おはよう」と言われた。昨日までは、目を閉じたままだったのに、この時は、パッチリと目を開けて下さった。

ママが左足のマッサージをし始めると「痛い。もうやめて。死にそう」と言われた。体中に水がたまり、足が2倍位にむくんでいたので、痛いのはかわいそうだけれど血流を良くするために、リンパマッサージをしていた。

私達は、おじいさんの言葉に大笑いした。その後もたくさん会話ができた。だから、直ぐに病気が治るんだと思っていた。でも、本当は少しずつお別れの時間が近付いていた。

ずっと返事をして下さっていたのに、急に返事がなくなり、反応がなくなった。家族みんなに見守られて、旅立たれたのだ。私は、悲しみで心がパンパンになり、今にもはれつしそうだった。

しばらくして、看ご師さんが「お体をふいて、お着替えをしていただきます。ご家族の方も、ご一緒に」と言われた。ママは「父はダンディーでオシャレで、とってもかっこよかったので元気な時以上にすてきでかっこいい父にして下さい」とお願いして病室を出た。

温かいタオルで、みんなで体をふいた。お化しょうをして下さる時に「お嫁さんからたのまれたので、念入りにかっこよくしますね」と言われ、とても丁寧にして下さった。本当にねむっているだけのように見えた。着替えも終わって、かみの毛も整えて、かっこいいダンディーなおじいさんになられた。

ママに、中での事を話すと、すごく喜んだ。亡くなった人は、冷たいタオルでふかれるのでは…と心配していたようだった。「死んでしまった人にも、最後まで、生きている人と同じようにして下さって良かったわ」と言って泣いた。

私はいつもママに、「何でも最後まで丁寧にきちんとしなさい」と言われていたけれど、この時に、最後まで…ということは、とても大切な事なんだと、初めて分かった。

旅立たれてしまったのは、本当に悲しくさみしいけれど、最後に、すっきりさっぱりされて、気持ち良く旅立たれることができて良かったと思う。

最後まで、丁寧に接して下さった看ご師さん、ありがとうございました。

そして、じいじ、今までありがとう。ずっとずーっと大好きだよ!!


(敬称略・学年などは2016年2月6日時点)

  • (注)入賞作品を無断で使用したり、転用したり、個人、家庭での読書以外の目的で複写することは法律で禁じられています。


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  • 主催
  • 日本医師会
  • 読売新聞社
  • 後援
  •  厚生労働省
  • 協賛
  • 東京海上日動 東京海上日動あんしん生命

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