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第34回 「心に残る医療」体験記コンクール 〜あなたの医療体験・介護体験を募集します〜

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第34回入賞作品

<中高生の部> 優秀賞

勉強させられた通院・入院生活

倉田 里穂(くらた りほ)(17)京都府

私は今年の3月に2回目の入院をし、初めての手術を受けました。病名は2回共「バセドウ病」です。1回目の時は小学4年生の時でした。節分の日の夜、豆撒きをしようと外に出た時、なんだか胸が苦しくなって倒れ、救急車で運ばれ、そのまま入院しました。

その時、私はまだ小さかったので母がほぼ24時間付き添い、泊り込みまでしてくれたので、寂しいと感じる事もなく、逆に10時と3時のおやつまで出てくるので楽しいし、学校も休める。入院ってなかなかいいもんじゃないか、なんて気楽に思っていました。

退院後は2週間に1度、採血後に診察があったのが、月に一度に変わり、3か月に1度になり…それに伴って薬の量も減っていき、6年生になる頃には年に1度の通院になる予定でした。

しかし、私は体が楽になるにつれ、段々薬を飲むのをサボるようになりました。6年生になっても数値が安定せず、先生にも注意をされるまでになっていました。

高校1年生になった頃、小児科に通うのが恥ずかしくなり、主治医を院内にある内分泌科・甲状腺専門の先生に変更をして貰いました。ただ、この先生はとても早口で、キツイ言い方をする先生でした。同じ院内だからカルテがある筈なのに、それを見る事もなく、「僕には経過がわからないから説明して下さい」と言われ、説明すると「それなら手術したら?」とあっさり言われました。たかだか数分の診察時間で手術のメリット・デメリットを早口で言われ、私が理解出来ずにいると「次回までにどうするか決めておいてください」とあっさり言い切られてしまいました。

自宅に戻り、自分でインターネットや本で調べ、今後の事も考えて手術をすることに決めました。その事を主治医に伝えると「ここの病院では出来ないから、普段僕のいる病院に水曜日に来て下さい。予約しとくから」と言われました。確認したい事がいくつもあったのに、早く出て行けと言わんばかりの対応に凄く腹が立ったし、悲しくなりました。以前の小児科の先生はとても優しかったので、私はその差にがっかりしました。医者も人間、それは十分わかります。だけどこんなにも対応が違うのか…。私自身も言い方、態度、対応に気をつけなければ人に不快感を与えるんだと勉強させられました。

指定された日に病院に行き、血液検査から始まり、色々な検査を受けました。診察室に入ると「この数値なら手術をするのが良いでしょう。ただ、僕が手術をする訳ではないので、耳鼻科の先生と日程調整して下さい」とだけ言われ、耳鼻科に回されました。どの位の待ち時間があるのか聞くと「分かりません」の一言だけでした。3時間程待ち、診察室に入ると疲れた顔をした女医さんがいました。

その先生から傷跡の事などを聞くと、デメリットばかりを強調されました。「これは自分の思っていた手術ではないぞ」と感じ、また悩み始めました。手術をすると決めはしたものの、どうしても新しい主治医の下では受けたくありませんでした。

そこで、母ともう一度以前の小児科の先生の所へ相談に行きました。すると、少し遠いけれど、沢山甲状腺の手術をしていて、実績のある病院を教えてくれました。直に紹介状も書いてくれました。

実際にその病院に行ってみると、とても綺麗な建物で先生も優しく、私が不安に思っていた傷跡の事や手術後の事についても色々丁寧に分りやすく説明してくれました。ここでは「年齢を考慮し、最小限の傷跡にしましょう。後々、首の皺に隠れるのでわからなくなりますよ」と手術直後、数年後の写真も見せてくれました。また「担当医も合わないと思ったらいつでも変更出来ますので、直に言って下さいね」と笑顔で教えて下さいました。

私は前の病院との差に驚きました。

同じように人が受付に立ち、医者が対応して診察している筈なのに、何故こんなに患者の受ける印象が違うのでしょうか?

私はその後、数回通院した後、3月に入院、手術を受けました。遠方だという事もあり、入院中に母が毎日来てくれるという事はありませんでしたが、看護師さんが頻繁に覗きに来て下さり、色々な話をしました。傷も最初の数か月は目立ちましたが、今ではあまり気にならない程度になりました。通院の間隔も段々開いていき、次回の検査結果次第では半年に1度ですみそうだと言われるまでになりました。

入院・手術をするという事は、きっと何回あっても慣れないし、不安になるものだと思います。ただ、その時の医者や看護士さんの言葉や態度一つで患者の心は落ち着くものだと実感しました。今回、私にとって、人に対する言い方、態度、対応に気をつけなければいけないと考えさせられ、これからの人生の勉強となった通院、入院生活になりました。


(敬称略・学年などは2016年2月6日時点)

  • (注)入賞作品を無断で使用したり、転用したり、個人、家庭での読書以外の目的で複写することは法律で禁じられています。


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  • 主催
  • 日本医師会
  • 読売新聞社
  • 後援
  •  厚生労働省
  • 協賛
  • 東京海上日動 東京海上日動あんしん生命

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