臨書の世界
臨書(りんしょ)とは、文字通り手本を左において、それを見て学ぶもの。技法を学ぶ、鑑賞を深める事を主眼とする。一方、自分なりの解釈・見方や好みを表現した作品もあり、学書から一歩進んだものともいえる。こうした臨書は、自らの好みを理解し、創作作品への一里塚ともなる。
西川寧の父春洞(しゅんどう)は清の文人 徐三庚(じょさんこう)(1826−1890)の書を愛好し、精密な写しを取り、その書の真に迫ろうとした。西川寧もまた、文字の輪郭を細い線で描いた籠字(かごじ)にとって、その中を墨で塗りつぶしていく双鉤填墨(そうこうてんぼく)という精巧な模写を何度も行っている。清の印人胡震(いんじんこしん)(1817−1862)、金冬心(きんとうしん)などの模写である。子どものころに手本を透き写しにしたりしてはいけない、と教わった人は驚くかもしれないが、正確に点画や字形を把握し形を捉えるには最適の方法である。
ここでは、西川の学書の姿勢と、西川が理解した古典の神髄をみていただきたい。これによって、古典の魅力を再認識することができるだろう。 |


りんまおうたいはくしょごじゅうにびょうほう
東京国立博物館蔵
1973年、中国湖南省長沙市の近くの馬王堆漢墓(まおうたいかんぼ)から帛書(はくしょ=絹の上に墨で書かれた文字)が出土した。これを1976年の2月に臨書したもので、同年の謙慎展出品作。新資料にも心を配り、字形の模倣にとどまらず、筆意まで表現した意欲的な臨書で、書への真摯な取り組みが見られる。 |
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