隷書の世界
隷書(れいしょ)は甲骨文(こうこつぶん)・金文(きんぶん)・小篆(しょうてん)の篆書(てんしょ)の時代を受けて、篆書に続く第二段階の正式書体となったものである。ただ、一口に隷書といっても、金文を早書きした秦隷(しんれい)(=古隷)から、波磔(はたく)を強調した八分隷(はっぷんれい)までがある。
その整斉で充実した筆力の西川寧の多様な隷書は見ごたえがある。西域出土の晋漢(しんかん)の墨跡に対する研究に立脚したものである。ことに、芸術院賞を受賞した七言聯(しちごんれん)は、西川の多様な表現力を結集した作品といえよう。典型的な隷書から、筆法に篆書の趣の見えるもの、太い線質、細い線質で書き上げるもの、波磔を強調するものなど、その折々に興味をもった古典を踏まえながら、自ら美意識と練達した筆法で書き上げている。西川の作品をたどれば、隷書という書体の成立から展開をも見る思いがする。 |

れいしょしちごんれん
個人蔵
昭和29年日展出品作。翌年の5月に日本芸術院賞を受ける。昭和28年作。
西域出土の晋漢の墨跡に対する研究に立脚したものである。紙面に喰い込むような充実した筆力で、潤渇をおりまぜながら、表情豊かに、整斉な字体で書き上げる。西川の多様な表現力を結集した作品。 |
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