行草の世界
一般的に楷書・行書・草書というように、楷書からだんだんに崩されて行書へ、さらに簡略化されて草書へ変遷したと考えられているが、実は草書がもっとも早く、前漢の時代、隷書(れいしょ)とほぼ同じ時期に生まれている。
西川の行書・草書の作品をみると、ごく初期は当時盛行していた雄渾な書風の影響を受けているかに見える。が、西川が真摯に書へのアプローチを続けた結果、次第に大きく変貌を遂げ、壮年期以降の作品はまるで別人の手かと思わせる。筆力の充実はもちろんのこと、行間・文字間の処理なども見事で実にすっきりとし、洗練された品のよさと情緒が感じられる。強さ、流麗さに加えて、余白の美が見事に表現されていることにも注目したい。 |


りたいはくしゅうほのうた
東京国立博物館蔵
唐の詩人李太白の秋浦歌を草書で揮毫したもの。西川にしては珍しい横物の草書作品である。隷書や篆書(てんしょ)を学書した経験を踏まえ、20代の「米元章詩(べいげんしょうし)」などの雄渾な書風から大きく変貌をとげた。充実した筆力で流麗に書き進めている。 |
|